こんにちは。司法書士法人UNIBESTの岩白です。
私事ですが、先日、子供が産まれました。
妊娠期間中はかなり壮絶で、予定日より2週間以上早く生まれたものの、母子ともに健康でホッとしております。
さて、参院選も迫る中、子育てに関するある政治家の方の主張を拝見しました。
「少子化対策のために、教育費無償化、出産費用無償化を実現します」とのこと。
たしかに、「給与も上がらない今の経済状態では子供が育てられない」という声はニュースなどでもよく耳にします。
ただ、かつて日本がもっと貧しかったころは子供が少なかったのかといえば、今よりも断然多い。
どういうことなのでしょうか?
一つには、子供の教育に関する価値観の変化があるのかもしれません。
大学まで進学する子供がごく少数だった昔と違い、いまは大学進学がスタンダードになりつつあります。
塾や習い事もそうでしょう。
当然、教育費はかつてと比べて大きくかさみ、決して昔に比べて貧しいわけではないけれど、子育てに経済的な不安を抱く事態になっているのかもしれません。
もう一つ気になるのは、「ある程度の年齢になったら結婚して子供を産み育てるのが普通」という価値観です。
これは社会に広く蔓延し、ある種の圧力にもなっていました。
その結果として、順調に我が国の子供は増えたわけです。
しかし、本来、結婚・出産の選択は圧力によって決すべきことではない、ということが社会に受け入れられ始めました。
これまでは、いわば無理がかかった状態で子供が増えていた。
その無理がとれたら、自然にあるべき数へ落ち着いていく流れになるのではないでしょうか。
経済面への手当ては、前者には有効ですが、後者には効きません。
社会の価値観の変化、つまり「民意」は、人口減少の方向へ舵を切りつつある、ということなのかもしれません。
であれば、経済面の手当てで産みたい人が産める社会を目指しつつも、政治が考えるべきは、今後も無理をかけて出生数を増やすことではなく、戦略的縮小とでも呼ぶべき、産めよ増やせよの時代の出口戦略なのかもしれない、とも思うところです。
もちろん、その前段階で、現在の高齢者数を支えられなくなるという大問題が立ちはだかるのですが。