井出 晃正
【社会福祉士事務所UNIBEST所長/司法書士法人UNIBEST後見業務部部長】
ごあいさつ
私が福祉に初めて接したのは、小学6年生の時です。
母に連れられて、地域の障害者施設でのイベントに参加したのです。
それは市民と障害者とが屋外でバーベキューをするといった、小さな交流イベントでしたが、
子供心に「世の中には色々な人がいるのだな」と驚き、また同時に障害のある方々からかわいがってもらい、
優しく接してもらえて嬉しかったことも覚えています。
この気持ちは、私が大学生の時に教職の実習の中で、特別支援学校に行ったときに再度強く思い起こされました。
そして、それ以来障害者福祉が心の中で気になり続けました。
大学で法律を学ぶうちに、法律領域における福祉への理解不足、福祉領域における法律への敷居の高さという問題を感じ、
これらは法律と福祉との距離が遠いからではないかと、思い切って私自身、福祉領域に飛び込みました。
その後、障害者施設や社会福祉協議会、自治体の心の相談、厚労省が行う自死相談などの現場で15年以上、
支援員や相談員などとして勤務して参りました。
これまで、6000件以上のご家族の相談業務を行う中で、気が付いたことがあります。
それは、問題を抱えていないご家庭はほとんどないということです。
まれに、何の問題も抱えていないというご家庭もありますが、それは、これから問題が生じるということです。
つまり、ご家庭に問題が生じることは特別な事ではないのです。
生じた問題を抱え込まず、信頼できる専門職に相談し、一緒に解決してもらう、
誰もがそんな風に生活できたら素晴らしいと思います。
生涯のうちで、福祉に関わらない人はいません。
たとえ直接自分が関わらなくても、家族、友人、職場など間接的であれ必ず関わるのが福祉です。
私は、社会の中での勝ち負けや、躓き、マイノリティーであることが、
その人やその家族の人生の終わりとなるような社会にはしたくないと思っています。
そういった社会はぜい弱な社会ですよね。
誰かの失敗や、少数派としての経験の中にこそ、わたしたちの社会にとって有益な糧があり、
それらを受け入れることで社会はより強靭となります。
強靭な社会は、辛く悲しい思いをする人をきっと減らしてくれます。
高齢化や人口減少が進み、我が国は支えあいの基盤が弱まっており、
地域や個人が抱える問題の解決方法は、さらに複雑になってきています。
UNIBESTグループに社会福祉士事務所があることで、法務の視点だけでは捉えきれない課題解決や
新たな視点からの市民に寄り添った提案ができると私は考えています。
井出 晃正