家族信託と成年後見の違い② -費用-【おしえて!家族信託相談室-第6回】

原則として必要なのは初期費用のみ

家族信託にかかる費用についてお話しします。
家族信託契約を結ぶにあたっての初期費用は、以下のとおりです。
大まかな総額の目安としては、
信託契約に組み入れる財産額の2~3%だと考えていただければと思います※。
※司法書士等の専門家に依頼した場合

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成年後見と違って初期費用がかなりかかるのね…。

そうですね、金額は信託財産によって異なるとはいえ、
高額であることは間違いないです。
ただし家族信託の場合、
毎月の費用、いわゆるランニングコストがかからないのです。
つまり、成年後見人をつけた際に必要となる
年間最低24万円近い支出は不要ということです。
これが家族信託と成年後見の大きな違いです。

どうしてランニングコストがかからないの?

以前お話ししたように、
成年後見では多くのケースで専門家が後見人になっており、
この場合は報酬の支払いが実務上一般的となっています。

これに対して、家族信託では委任者と受託者の間で
自由に報酬に関する約束をすることができます。
そのため、受託者が報酬を受け取らないという取り決めをすれば、
結局初期費用以外には費用がかからない
んです※。

これにより成年後見の問題点の二つ目である
「かかる費用」を回避できるということです。

家族信託と成年後見の費用をまとめると、下図のようになります。
※ 信託監督人などを選任した場合には報酬が発生することがあります

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自分でやれば費用を節約できる?

家族信託の初期費用に「コンサルティング費用」といったものがあるけど、
これは専門家に依頼した場合にかかるってことですよね。
そうだとすると、もし自分たちで家族信託契約の内容を考えるのであれば、
そのぶん費用は少なくて済むってこと…?

確かにすべてをご家族だけで行うのであれば、
コンサルティングの費用はかかりません。
ただ、もし家族信託を利用するのなら
専門家へ依頼されることを強くお勧めします。

それはどうして?

法務や税務面でのリスクをしっかりと検討する必要があるからです。
家族信託は、その内容によっては次の世代、
場合によってはその次の世代以降まで長く続いていくものなんです。
そのため、導入の際のリスク検討が不十分だと
将来予想もしていなかった不都合が起きてしまうこともあるんです。
こういったことから、家族信託の利用にあたっては
理論や仕組みをしっかりと学び実践している
法律専門家(弁護士・司法書士・行政書士等)に
相談することをお勧めしています。

また、家族信託を利用する方のニーズや背景は千差万別です。
したがって、契約の内容もそれぞれのケースにあわせ
オーダーメイド型で慎重に考える必要
があります。
この点、対応件数の多い専門家であれば、
個々の要望に応じた最適な提案をしてくれるでしょう。

なるほど、将来の安心のために使うものだからこそ、
しっかりと考えて準備する必要があるってことね。

今回のまとめ

家族信託と成年後見、長期的な観点で比較した場合は
家族信託のほうが割安ということがいえるかと思います!
次回は家族信託と不動産の関係についてお話しします!

※本記事は掲載当時の法令等に基づき作成しております。また、一部内容を簡略化しております。