補助者受験生、初決済までの道【第11話・新作と新築】            ~新築建物に必要な登記~

ピンポーン

どうもどうも。
先日は父の相続登記、ありがとうございました!

こちらこそです井出さま。本日はどうされました?

父から港区の土地を相続したじゃないですか。
実はあの土地で事業を始めようと考えていまして!

おお!あの港区の一等地で!どんな事業を?

それはまだアイデアを練っているところですけどね。
今は土地の上に店舗用の建物を建ててもらっているんです。

なるほど、つまり……

ええ、建物の保存登記ってのをする必要があるらしいですね。
それをまた先生にお願いしたくて!

もちろんでございます。
でも新築建物ということは、まずは表題登記からする必要があるかと。

表題……?それはどんな登記なんです?

ざっくり説明すると、床面積や構造などといった、
建物の物理的現況に関する登記です。
不動産の登記簿の「表題部」という部分に記録されます。


表題登記は土地家屋調査士という別の士業さんの分野ですね。
私たち司法書士が登記するのは所有権などといった権利関係に関するもので、登記簿の「権利部」という部分に記録されます。

えーっと、じゃあまずはその女子家屋調査士さんってのにお願いしなきゃいけないんですか。

それではただのストーカーです井出さま。
土地家屋調査士さんですね。

昔はウチの事務所にもおりましたが、今はもう退職してしまったので……
提携している調査士事務所さんをご紹介しましょうか?

うーん面倒なので、いっそ登記をしないっていうのはダメですかねぇ?
別に義務化されたのは相続登記だけなんでしょう?

たしかに保存登記は義務化されていませんが、表題登記の方は義務となっています。
そして保存登記の方も未登記のままでは様々なデメリットがあるので、やはり今登記してしまった方がいいと思いますよ。

じゃあ仕方がないですね、ちゃんと登記をすることにします!
保存登記をすることになったらまたよろしくお願いしますよ!

はい、ありがとうございます。
では私もこれから決済なので、すみませんが続きはまた今度ということで。

(未登記のままだとどんなデメリットがあるんだろう?後で調べてみようっと)



「スターバックスコーヒー ルミネ立川店」さんの9月の新作「焼き芋香ばしカラメルフラペチーノ」

<建物を未登記のままにしておくデメリット>

①ローンを組むことができない
……所有する建物をローンの担保にする、つまり抵当権を設定するには、所有権の登記がされていることが前提として必要。
そのため、未登記のままでは抵当権を付けることができない。

②将来その建物を売る際に、買い手が見つかりにくい
……買い手側も抵当権を付けることができないため、購入するためのローンを組むことができない。
また、買ったとしても登記による対抗力を得られないことは買主にとってリスクが大きいため、買い手が見つかりにくい。

なるほど、これはたしかに登記した方が良さそうだな。

[受験生メモ]
・表題部所有者による所有権保存登記申請……法第74条第1項第1号申請

・表題部所有者から直接所有権を取得した者が申請できる場合……区分建物の場合のみ(法第74条第2項申請)
・表題部がない場合の所有権保存登記……確定判決によって所有権が確認された者(法第74条第1項第2号申請)又は収用によって所有権を取得した者(法第74条第1項第3号申請)であれば認められる(不動産登記法75条)。なお、その場合の表題部は職権で作成される。