補助者受験生、初決済までの道【第17話・官報と小籠包】　　　　　　　　　　　～事業年度と公告方法～

こんにちは！今日は気持ちいい秋晴れでしたね。
なんだか事務所の中も、この前より落ち着いているみたいじゃないですか？

どうも井出さま。
月末の決済ラッシュが終わりましたし……
加えてウチは9月締めの10月決算なので、たしかに先月はドタバタしていましたね。

なるほど……
そういえば決済と決算って似てますよね！
土地や建物を買うのが決済で、会社の１年間のお金の流れをまとめるのが決算で合ってますか？

はい、おおむねそんな感じです。
決算については、井出さまもこれから会社を設立されますが、会社の事業年度を自由に定めることができますよ。

なるほど……何月から何月がいいんですかねぇ？

よくある会社だと4月から3月末ですね。
色んな会社の定時株主総会が6月に集中するのは、3月に年度を締めた会社がそこから3ヶ月以内に定時株主総会を開催する必要があるからだったりします。

個人事業主と同じ1月から12月末でもいいですが……
井出さまの場合、会社の設立予定が12月でしたよね。
設立したての忙しい時期なのに、すぐに決算が重なってしまいます。

忙しさのダブルパンチってことですか……！
それに12月はクリスマスチキンの配達とかが多いでしょうし、もうちょっと暇な時期がいいかもです。

たしかに繁忙期も事業年度を決めるための重要な要素ですね。
井出さまが設立する「ウーバーイーデ株式会社」だと、雨の多い時期なんかも忙しいと思われるので避けた方がよいかと。

そうですね。
ちなみに決算は忙しいって言いますけど、実際のところ何をする必要があるんです？

具体的な部分は税理士さんに聞いていただいた方がよいかと思いますが……
法的には計算書類を作成して、定時株主総会の承認を受けて、貸借対照表を公告する必要があります。

広告ってCMを流したり、電車の車内に貼ったりするんですか？

広告ではなく公告です井出さま。
電車やCMではなく、官報か日刊新聞、又は自社のホームページなどに載せる電子公告のいずれかの方法でするものと決められています。

新聞に載せるのはお金がかかりそうだし、官報は読んだこともないからよく分からないし……ホームページに載せる電子公告とやらが一番楽そうですね！

うーん……
電子公告でも結局お金がかかる場面はありますし、官報や新聞と違ってスペースの制限がないぶん載せなきゃいけない情報量も増えるという点もご注意いただきたいです。

ちなみに一番よくとられている公告方法は官報ですが……
実際に官報を読んでも、そこまで多くの会社の公告は載っていません。
公告をしなかったことに対する罰則規定は一応あるんですけどね……

ほほぅ……
つまり実際はほぼ罰せられないから、面倒な公告をわざわざしている会社は多くないということですね……？？

もうこんな時間ですし……
そういうリアルでディープな話もぜひ、お酒でも飲みながらどうでしょう？

いいですね。実は近くに良いお店がありまして……

ただいま外出から戻りました！
もうこの時間でも外は真っ暗ですね～！

ちょうどいいところに、ちょっとこの先生借りてくよ！
これからおじさん達は夜の街に消えていくから！

夜の街に消えるのって自己申告するものじゃないと思いますよ。

「DRUNK DRAGON Chinese kitchen 立川店」さんの「小籠包」

このお店は事務所から近いのもあって、ランチでもよく使われるお店なんですよ。立川でなに食べる？⑬

……って井出さま？まだ１杯目ですよ？

Zzz……

[受験生メモ]
・定款で公告方法を定めなかった場合、公告方法は官報となる（会社法939条4項）。
・決算公告以外の電子公告をした際には、法務大臣の登録を受けた調査機関の調査が必要となり、そのための費用がかかる（会社法941条）
・決算公告を官報・日刊新聞で行う場合は貸借対照表の要旨を公告することで足りるが、電子公告の場合は要旨ではなくフルサイズで公告する必要がある（会社法440条1項、2項）。