受験生と学ぶ、不動産決済基本のキ。
司法書士の業務である、不動産登記や決済。
これらについて、皆さんはどのような印象をお持ちですか?
普段の暮らしではなかなか聞かない用語ですし、何となく難しそうな印象もあって、具体的なイメージがわきにくいのではないでしょうか。
実は不動産登記や決済は皆さんの土地や家を守るための大事な仕組みなのですが、一般の方からは理解しにくいという声もよく聞きます。
さて、UNIBESTには司法書士の補助者として働きながら勉強を続け、司法書士試験の合格を目指す受験生がいます。
そこで、受験生の彼が不動産登記や決済について感じた疑問を自ら調べ、また時には先輩にぶつけ、皆さんと一緒に楽しく学んでいけるようなコンテンツを始めました。
「司法書士」と「一般の方」の中間的な立ち位置である、受験生ならではの目線でわかりやすくお伝えしていきます。
ぜひご覧ください!
今日から司法書士事務所で仕事だ!
補助者として働きながら、試験に合格して司法書士になれるよう頑張ろう!
さてさて、これが土地の登記の謄本か。初めて見るけど…
借金の額とか住所が載ってるけど、これってめちゃくちゃ個人情報じゃないの?
謄本って誰でも見れるのに、個人情報を載せてもいいのかな?
ああそれ、むしろ個人情報を公開するためにあるんだよ。
公開していいんですか!?
じゃあ先輩のデスクにある、その戸籍も…?
いや、戸籍は個人情報だから公開しちゃダメ。
どっちも個人情報なのにですか?
うん。戸籍はあそこの職務上請求書を使って請求してね。
それじゃ私は決済に行ってきます。
しょくむじょうせいきゅうしょ……
~退勤後、事務所近くのカフェでじっくり調べてみると…
グリーンスプリングスにある
「桜乃」さんのカフェオレ
なるほど、こういうことだったのか!
①「登記は個人情報を公開するためにある」
→土地や建物の所有権者や抵当権の内容が公開されることで、それを買いたい人やローンの担保にしたい銀行が安心して取引をすることができる。これを「取引の安全」といい、不動産登記制度はそのためにある。
②「戸籍は個人情報だから公開しちゃダメ」
→戸籍には出生から死亡まで、結婚や離婚、認知や養子縁組といった個人情報が記録されている。これらの情報は不動産取引の安全には関係ないため公開されず、むしろ保護しなければならない。
③「戸籍は職務上請求書で取る」
→上記の理由から、戸籍は原則として本人などしか取得することができない。しかし相続登記など、業務に必要であれば司法書士も取得することができる。そしてその権利が濫用されないよう、日本司法書士連合会によって記入内容まで指定された用紙が職務上請求書である。
[受験生メモ]
①
・不動産登記の対抗力(民法177条)
・たまたま同姓同名ということもあるため、登記上の人物の同一性は「住所+氏名」で判断される。
住所が一致しないと登記申請は却下される。(不動産登記法25条7項)
③
・戸籍を取得できるのは原則として、本人又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属。(戸籍法10条1項)
・司法書士が請求する際には事件の種類や利用の目的を明らかにする必要がある。(戸籍法10条の2第4項2号)
※便宜上、戸籍謄本や記載事項証明書を「戸籍」と記載しています。
登記簿謄本も戸籍謄本も似てるし仕事でよく見るけれど、扱い方は全然違うんだな~気をつけなきゃ。
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