補助者受験生、初決済までの道【第24話・ごぼうと近傍】            ~公衆用道路の評価額~

先に言っておくと、今回は少し歯ごたえのある話になるよ。
覚悟はいいね?

ゴクリ……

まずはこの名寄帳の写しを見てほしい。
さっき立川市役所から郵送で届いたものだよ。

名寄帳はたしか……その人がその自治体内で持っている不動産の一覧でしたっけ。
土地が3筆(ぴつ)と建物が1棟(むね)記載されていますね。

うん。
この4つの不動産の評価額を調べる必要があるから、評価証明書を取ってきてほしいんだ。

あれ……この名寄帳にも評価額が載っているんですけど、評価証明書を別で取らなきゃダメなんですか?

うーん、登記申請で法務局に提出するのは、原則として評価証明書か納税通知書なんだよね~
法務局によっては「名寄帳の写しでもいい」って言っているところもあるんだけど。
(参考:https://houmukyoku.moj.go.jp/saitama/content/001380651.pdf

まぁとりあえず名寄帳を出して、ダメって言われたら評価証明書を取るのでも、普段だったら全然いいかな。

な、なんだかテキトーじゃないですか?

不動産の評価額を証する情報は、法令に基づく添付情報じゃないからね。
法務局ごとに扱いが違ったりするのは仕方がないのさ。

でも今回は評価証明書を取らなきゃいけない理由が別にある。
なぜならこの「公衆用道路」の土地については、この名寄帳に評価額が載っていないからだ。
たぶん評価証明書を取っても、同じく空欄になっていると思うけどね。

えっ!評価証明書にも評価額は載らないことがあるって……
じゃあ何でわざわざ評価証明書を取るんですか?

公衆用道路の評価額自体は載らなくても、近傍宅地の平米単価を載せてもらうためだよ。
近傍宅地……要するに近くの土地の価格から道路の評価額を予想して計算するってわけだ。

実際の計算式は近傍宅地の平米単価×公衆用道路の面積×0.3】
最後に0.3をかけるのは、道路だから宅地よりも評価額は低いだろうということだね。

そんな面倒くさいことをするんですか、困りますね……

もっと困らせてあげよう。
この辺だと八王子市や東京23区は、お願いしても近傍宅地価格すら載せてくれないよ。

ええええ……!
そんなのもう、登記するのは諦めろってことですか……!?

諦める必要はない。
そういう時は、道路に接している宅地、すなわち本地の評価額から平米単価を出せばいいだけだ。

本地の平米単価は(本地の評価額÷本地の面積)で出せるから、計算式は
(本地の評価額÷本地の面積)×公衆用道路の面積×0.3】ってとこだね。

計算がひと手間増えるわけですね。
それにしても文系職に就いたのに、こんなに計算をすることになるとは思いませんでした……

義務教育って大事だね。グゥ~
そうだ!頭を働かせるために、歯ごたえのあるものを噛んで脳を活性化させよう!グゥ~

えっとつまり……お腹が空いただけですね?


JR立川駅 駅ナカにある「武蔵野うどん こぶし エキュート立川」さんの「ごぼ天うどん

うどんも評価額計算も、歯ごたえバツグンだね。
ちなみに令和7年3月31日までは租税特別措置法によって、100万円以下の土地の相続登記は登録免許税が非課税になっているよ。

私道持分は評価額が低額になることが多いから、「苦労して計算したのに、結局は免許税に影響しないじゃん!」ってパターンが多いってことですね。