

おはようございます!
ようやく暖かくなってきて、ついにお花見シーズン到来ですね~
おはよう。
春の陽気も感じられて、何か新しいことを始めたくなる季節だね。

☎プルルルルル
はい、UNIBESTです。
ああ!サカモトハウスさん、本日はどうされました?

おはようございます。
先日ご紹介いただいた藤本さまの件、買主となる方が見つかりましたのでそのお電話です。

母親から相続した土地を売却するあの件……
さっそく見つかったんですね、ありがとうございます。
それでその、見つかった買主さんというのは……


お電話中にすみません!急にお客様が……

どうも~!!ウーバーイーデ株式会社の井出です!!
先生いますか!!
……どうやら買主さんは、私のよく知る人物のようですね。


立川駅南口から東に5分、
通称「オニ公園」こと「錦第二公園」の桜

いや~会社の設立の時にはずいぶんお世話になりました!
あれから経営も順調に進んでいるので、そろそろこのあたりに支店を出すことにしたんですよ!
支店を出すのに伴って、井出さま自身も立川に引っ越されるんですよね。
仲介のサカモトハウスさんからちょうどお話を聞いたところです。


それなら話は早いです!
そんで不動産屋さんのことを仲介って呼ぶんですね!
UNIBESTさんが今回もまた何かやってくださるって聞いたので、改めてご挨拶をと思いまして!
はい。
司法書士として決済の立会いをさせていただきますので、こちらこそよろしくお願いします。


決済……先生、その「決済」ってのは一体何なんです?
「カード決済」とか「決済手数料」とか言いますけど、司法書士さんにお願いするのは登記であって、お金の話じゃないですよね?
いえ、ばっちりお金の話ですよ。
決済は「残金決済」の略で、売買契約の際に払った手付金を除いた残りの売買代金を支払う場のことです。

そしてその支払いと同時に不動産の引き渡しと登記申請をする、言うなれば不動産売買における最後の総仕上げの場なんですよ。


えーっと、いくつか質問があるんですけど……
まずどうして売買契約の時に全額を払わずに、手付金だけを支払うんですか?
どうせ払うなら、最初から全額を払っちゃえばいいじゃないですか。
不動産売買は契約をして全て完了……ではなく、物件の引き渡しの準備やローンの契約など他にもやる事がたくさんあります。
しかし売買契約自体はお互いの気が変わらないうちに、先だって結んでしまう必要があるのです。

しかし契約を締結しただけではまだ完全に自分のものになっていないので、買主は全額を支払うわけにはいきません。
そして売主にとっては、買主の気まぐれで勝手に契約を解除されたら困ります。


そこで2人のあいだをとって、手付金として代金の一部が授受されるってわけですか……
買主が勝手に解除したら、手付金はそのまま売主さんのものになる、要するに人質みたいなものってことですかね。

でも、それじゃあ買主はどのタイミングで残金を支払えばいいんですか?
完全に自分のものになってからじゃないと、支払うわけにはいかないんですよね?
通常、売買契約の中には「所有権は売買代金の支払いと同時に移転する」という所有権移転時期特約が存在するので、残金を支払うだけで不動産自体は買主さんのものになります。

もっとも買主さんのものになったからと言って、それを当事者以外の第三者にも対抗できるかどうかは別問題です。
売買契約の存在を知らない赤の他人にも、所有者が変わったことを知らせるためには……?


なるほど!ズバリそれが登記ってわけですか!
司法書士さんが決済の場に来てくれるのはそういうことだったんですね~
はい。
万が一、別の買主との間で二重売買がなされたとしても、対抗要件の具備の先後で負けてしまわないように、司法書士は所有権が移転したその日のうちに法務局へ登記を申請する必要があるのです。

つまり買主さんが残金を支払うタイミングは、物件の引き渡し及び登記の申請と同時ということになりますね。
法的にも、買主が残代金を支払わなければ、売主も物件の引渡しや登記申請をしないという、同時履行の抗弁権をお互いに有している関係です。


なるほどなるほど……そうやって残金の支払いと登記名義の変更が同時になされて……

……ってちょっと待ってください!
法務局に登記を申請しても、当日すぐに反映はされないですよね!?
それに審査の結果、もし登記申請が却下されちゃったらどうするんですか!?
今日は冴えているじゃないですか。
そんな事態にならないようにするのが、司法書士のもう一つの大きな役目なんですよ。

司法書士は、登記に必要な書類が全て揃っているか、書類が偽造されたものではないか、当事者がなりすましでないかなどを、法務局の代わりに現場でチェックをします。

そうして「これで登記を申請したら後日100%通るから、残金をいま支払ってもらって大丈夫です」とGOサインを出すのが、決済の場における我々司法書士の役目なんですよ。


ものすごく責任重大じゃないですか……
たとえばもし売主がなりすましで、それに気づかずGOサインを出しちゃったらどうなるんですか……?
いわゆる地面師のケースですね。
もちろんお金を払ったのに不動産を手に入れられなかった買主に対して、GOサインを出した司法書士は損害賠償責任を負うことがありますよ。

そのくらい責任重大なのでこれは司法書士にしかできない仕事ですし、だからこそ司法書士業務の花形とも言える仕事なんです。
決済におけるそれぞれの事情をまとめるとこんな感じですかね。


実際には銀行さんの融資が絡んでもっとややこしくなりますが、ひとまず決済の基本のキはこんな感じです。

さて……そろそろ着きますね。
このお店も100%美味しいので、期待していただいて大丈夫ですよ。


本当ですかぁ……?
GOサインを出しちゃって大丈夫なんですかねぇ……?

オニ公園から徒歩2分、「中国料理 五十番」さんの「牛肉とピーマンの炒め」

美味い!!美味い!!
おかずとご飯の同時履行が止まりませんよこれは!!
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